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 事務局所在地:横須賀市船越町7−66
  部会長:松山 雅彦(横須賀市立田浦中学校)
事務局長:嘉山 英明(逗子市立沼間中学校)

技術・家庭科研究部会の活動概要と会計の状況について

【活動の変遷と活動を支える会計の状況について】
   文責:令和4〜6年度部会長 松山 雅彦(横須賀市立田浦中学校長)

 本研究部会は、設立(昭和47年4月1日)以来、50年余りの活動実績があります。中学校技術・家庭科の振興発展と会員相互の親和をはかる目的で設立され、設立当初から各校一律400円の分担金をお願いしてきました。
 本研究会では、中教研の教科部会として唯一「全日本中学校技術・家庭科研究会の分担金(1校あたり1100円)」を徴収し、徴収額はすべて全日本中学校技術・家庭科研究会へ納入しています。その会計報告については、こちらでご確認をお願いします。

1 本研究部会の研究活動の概要について

@各郡市町村における技術・家庭科の実践交流・すぐれた実践の共有を目的として、研究委員会で現在も継続している
「研究集録」の編さんを行い、県総会において技術分野編・家庭分野編の各1冊を県内各校へ配布している。
A県内の技術・家庭科の
学習指導実態の把握を目的として、全県アンケートを行い、その結果を翌年度総会で示すとともにウェブページで発信している。
Bすぐれた実践の収集と共有を図るために、関東甲信越地区中学校技術・家庭科研究大会(通称関ブロ)及び全日本中学校技術・家庭科研究大会(通称全日中)への参加の呼びかけを行うとともに、参加者による概要報告を
『県技・家研会報』(令和5年度末に99号まで発行済)を通じて県内全校へ配布し、ウェブページでの広報を行っている。
また、令和5年度以降は、県内技術・家庭科担当教諭の現状を踏まえ、研究部会事務局として
「教科として県内に周知していきたいこと」を発信する活動を開始した。令和6年度は技術分野の内容Cエネルギー変換の技術の学習題材と実習題材の在り方についての研究を行うこととしている。
CBに伴い、他県提案担当地区の研究活動のサポートを行っている。
D学びつづける必然性のある技術・家庭科教員の研修の場として、
夏季休業期間に研修会を企画・運営している。

2 本教科の特質
 本教科の特質として、社会の変容や家庭生活の変容が教科指導内容に色濃く反映され、学習指導要領改訂ごとに『履修内容』『指導時数』『指導形態』が大きく変化している。
 本教科のルーツを探ると、明治・大正から戦前は職業的素養を養うための「手工科」家事裁縫・行儀作法等を意識した「手芸(のちに裁縫)」「家事」などの科目からの系統であるとの学説がある。
 戦後に一般教育としての体系を整えるにあたり、前期中等教育を節目に社会に出る男性、家庭生活を支える女性像に反映される「職業・家庭科」が設置されたが、上記の事情から男女が別学別修で学んでいた。
 昭和33年の学習指導要領の告示から、学習指導に関する法的な拘束力が発揮されるようになった。これ以降2008年までの教科の変遷については、筆者が神奈川県立総合教育センター勤務時に研修資料として作成した資料を参照されたい。
 上記資料を参照していただければ本教科がいかに社会情勢を反映し形を変えてきたかがご理解いただけると思う。また同時に、学生として学び教員免許を取得したとしても、10年を契機として見直される度に新たなインフラストラクチャーに立脚するテクノロジーが生まれたり、家庭生活の姿が変化していくため、
技術・家庭科の教員にとって、常に時代を追いかけながら新たな授業を創造するために学びあう場が必要であったと考えられる。
 こうした背景をもとに、
昭和47年に技術・家庭科研究会が発足していることをご理解いただきたい。

3 本教科にとっての転機 〜フェア事業のスタート、教育の情報化〜
 学習指導要領の改訂告示によって、社会が求める教育観は変遷してきたが、その中でも特筆されるのが次の2点である。
 @ 内容の大きな変化(1989年第5次改訂)
 共学共修内容として、第5次改訂で登場した「情報基礎」「家庭生活」の内容は、それ以降の社会の変化や男女共同参画社会を意識した内容として盛り込まれてきた。また、この当時の学習指導のキーワードとして「知識を詰め込む教育ではなく、生きて働く学力へ(ゆとり教育)」の代償として、教科時数の削減がスタートしている。この改訂以降、本教科の指導時数は大幅に減少し、1校単数配置という学校が多くなってきた。
 これに伴い、教科研究会での研究活動の重要性は増してきたと考えられる。同時に教育の情報化、インターネットの登場やマルチメディア型社会への動きにあわせ、本研究会においても平成13年度からウェブページを設置する動きが出た。
 A 別学から共学へのうねり
 現在もそうであるが、初等中等教育は日本国民としての素養を整える役目がある。このため、学習指導要領には、一定学校の環境や実態を踏まえた独自性を認めつつも、すべての国民が共通して学ぶスタンダードが示され、それに則った学習指導がなされている。
 本教科では2で述べたように、かつて性別による学びの違いが要求される背景が存在したことから、上記の共学共修のスタイルへ全内容が移行したのは1998年度第6次改訂であった。この改訂において、技術・家庭科の履修時間はさらに大きく絞られる結果となり、同時に教科内容の大幅な削減・統合・移行が行われることとなった。これが本教科の転機として最大の節目であると考えられる。
 平成12年度に創設された全国中学生創造ものづくり教育フェアは、教科の学びにより獲得した学力を発揮して中学生が活躍する場を作ろうと、当時の教科調査官であった渡邉康夫氏と全日本中学校技術・家庭科研究会長であった故・鹿島泰好氏の発案からスタートしている。

 この2つの転機を迎える中で、1で述べた研究会の活動の柱に
『フェア事業』が加わったといえる。当時は「ものづくりの甲子園」という謳い文句で、各地区で分散していたものづくりに関するイベントを冬にすべて東京へ集めることとなり、関東甲信越地区の研究会は、自県の研究会運営に加えて、フェアの全国大会の運営を担うことを余儀なくされ現在に至っている。

4 会計の現状について

<令和6年度 収入見込>
分担金 400円×407校   162,800円
中教研からの補助金        95,000円
前年度繰越金               17円
        計             257,817円

<令和6年度 支出計画>
関東甲信越地区研究大会分担金     50,000
関東フェア分担金         30,000円
総会運営費            30,000円
研究会運営費          107,817円
(HP運営費、印刷費、通信費等)

事務費(事務用品、資料代)    40,000円
                        257,817

『今後経常的に不足してくる部分』

※ネットワークセキュリティの強化に伴い、令和4年度あたりから、学校公用PCから県技・家研ウェブページが見られない症状が多発した。この問題解消のため、
SSLの認証費用等が増大し、研究会運営予算の圧迫につながっている。
令和5年度にはGoogleサイトの利活用の方向性を検討したが、広域にわたる情報発信において、発信側と受信側のセキュリティレベルの違いによって内容を閲覧できない課題が現時点で克服できておらず、当面は現在の形を維持せざるを得ない状況がある。

※教科専科教職員の減員により、年間5回の合同委員会へ出席できない委員への資料郵送費が増加している現状がある。広域人事で自治体での連絡手段がない地域もあり、郵送費がかなりかかっている。また、全日本中学校技術・家庭科研究会からも「理論と実践(全国の研究大会の概要をまとめた冊子として年1回各校へ配布している冊子)」などをどのように配布すべきかを検討している。

※フェアの運営に伴う費用として創造アイデアロボットコンテストの競技コートの制作費用が挙げられる。全国大会ルールは3年に1度フルモデルチェンジを行い、その後の2年間は、コートの大きな枠組みを変化させず、競技の内容をマイナーチェンジする慣例で進めている。令和5年度は令和3年度ルールのコートを使用していたが、令和3年度・4年度は新型コロナウイルス感染症の影響からオンライン形式での実施だったため、令和5年度に対面実施をした際に新たに制作した。令和6年度からは新ルールとなるため、再び制作が必要となる。
 競技の趣旨から、各自が制作するものについては個人またはチームが負担するが、極力フェアの参加費を徴収しない方向で進めてきているが、近年はコート制作費用として徴収せざるを得ない状況である。このことが近年のエントリーの低下の一因ではないかと考えている。

※競技における
審査員への謝金については、競技の趣旨をご理解いただき、基本的には費用弁償程度で運営している現状がある。しかしながら、拘束時間の長さもあり、審査員への昼食については支出せざるを得ない状況である。


5 分担金増額の理由について

令和6年度の予算については、上記の通りであるが、支出に関しては資材・宅配費用の高騰等を考慮した、かなり切り詰めた厳しい状況である。そのため、研究会として次のような努力を考えた計画である。

・合同委員会の欠席者に対する資料等の郵送方法は、地区逓送便を活用するなど工夫する。
・会議資料の封筒を回収し、極力再利用する。
・総会の学校会場開催を視野に入れ、会場費を節約する。
・記念講演の講師やフェアの審査員と連携協定を結び、費用弁償のみで来場してもらえるよう工夫する。
・フェアの取り組みを絞り込む、また、必要となる資材は各出場校の協力を願う。

・会議費を削減し、事業遂行のために必要な支出のみに限定する。

しかしながら、物価そのものの高騰に加え、フェア事業の拡大やネットワーク整備等の情勢の変化もあることから、昭和47年の研究会創設以来50年間、県内各校からの分担金400円で運用してきた本研究会であるが、令和7年度より分担金を600円として活動の維持・充実を図りたい。

〇経費削減に向けて、技術・家庭科部会として努力をしてまいりますが、令和12年度に予定されている関東甲信越地区中学校技術・家庭科研究大会神奈川大会においては、全県で8分科会(予定)の運営が必須となります。そして、今後も中心的活動である調査研究活動・全国中学生創造ものづくり教育フェアの実施を継続していくため、分担金の増額をお願いしたく存じます。

※本レポートについてのご質問・ご意見については、神奈川県公立中学校教育研究会 技術・家庭科研究部会公式アドレスあてにお寄せください。


神奈川県公立中学校教育研究会
技術・家庭科研究部会 事務局

〒249-0004
逗子市沼間3-21-2
逗子市立沼間中学校
教諭 嘉山 英明
TEL 046-871-5200
FAX 046-872-9657

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