令和6年度(2024年度)夏季研修会報告


令和6年度県技・家研 夏季研修会は昨年度好評につき引き続き分野別開催で実施となりました。
教職員の学習指導の充実に資する研修講座を開催するため、それぞれの分野での専門的な見識を高める研修を持ちました。


【家庭分野】環境に関する施設見学(廃棄物処理施設)
 日時 令和6年8月2日(金)  会場 リサイクルプラザ藤沢(藤沢市桐原町23-1)
〈概要報告〉
藤沢市リサイクルプラザにて家庭分野の夏季研修会を実施しました。ほぼ定員に達する人数で県内各地から参加しました。
施設紹介と見学を2時間たっぷり解説して頂きました。
ゴミの処理から循環に関してその取り組みを深く知ることができる機会となり、今後の授業づくりの参考となりました。

 研修の様子・施設概要  コメント
   施設内の環境啓発施設において施設紹介DVDの視聴を行いました。
   リサイクルプラザ藤沢(廃棄物処理施設)の見学コース
   北部環境事業所(2号焼却炉)の見学コース

〈研修参加者のコメントから〉
本日は有意義な研修を設定して頂きありがとうございました。環境を考えた生活の重要性について改めて考えさせられました。
ゴミの分別を日常的に行っているものの、その処理過程についてはあまり知りませんでしたが、資源ごみが手作業を通して再生される様子を見て、分別のルールの重要性を理解しました。
多くのゴミを処理するには多くのエネルギーが必要であり、限りある資源を大切に使うためには、購入段階から本当に必要かをよく考えることが大切だと改めて感じました。
授業を通して、子どもたちに伝えて行きたいです。

【技術分野】双方向性のあるコンテンツのプログラミング

日時:令和6年8月19日(月)
会場:藤沢市立第一中学校(藤沢市鵠沼神明5丁目109)
講師:特定非営利活動法人「みんなのコード」 千石 一朗 氏

<概要報告>
 藤沢市立第一中学校にて県内16名の先生方の参加のもと、技術分野の夏季研修会を実施しました。
 「双方向性のあるコンテンツのプログラミング」の教材研究を通し、単元の内容理解を深めるという目的のもと、特定非営利活動法人みんなのコード千石一朗様を講師に招き、「プログル技術」を用いた授業の展開についてお話しいただきました。教材の使い方だけでなく、小学校や高校との連携など、様々な視点で単元について考える機会となりました。また、当日は県内で技術分野の授業を担当している家庭分野の先生も参加していただくなど、日頃の教材研究で悩まれる先生方にとっても有意義な時間となりました。

<研修会参加者のコメントから>

新しい教材を知れたので良かったです。内容も生徒が自主学習でも進められるレベルだったのが良かったです。
情報に関する題材選択については、予算や学校事情により、選択肢が限られると思います。新しい題材も開発され、また教育課程も変化していくことから、学び続けることや引き出しを多く持っておくことが大切だと考えます。そういった意味でも今回の研修会はとても参考になりました。
D(2)の内容についてどのように指導していくのが良いかを「プログル技術」を使ってではあるが、よく理解できました。2学期以降の授業に早速生かしていきたいと思います。


令和5年度(2023年度) 概要

(家庭分野)
令和5年8月2日(火)9:00~12:00
独立行政法人 国民生活センター 相模原事務所
内容:「消費生活と環境」に関する講習及び施設見学(商品テストの施設)

【施設見学の概要】独立行政法人 国民生活センター 相模原事務所 (神奈川県相模原市中央区弥栄3-1-1) 

広大な敷地・恵まれた環境
相模原事務所の施設には、温暖・寒冷環境室、恒温恒湿室、難燃性テスト室、電子顕微鏡、ガスクロマトグラフ質量分析計、X線CT、蛍光X線分析装置、試験用ロボット、落下衝撃試験機、家庭内事故解析棟や屋外の走行試験路など、衣食住、乗り物等にかかわる多種多様な商品テストのための設備や機器類を備えています。
この写真は屋外の走行試験のためのスペースです。製品が路面の状況や傾斜によって、どのような動作をするか科学的に調査するためのものです。(写真奥には、タイル張りのような路面が見えます)

科学的分析
写真は、通信販売で効果を謳っている健康茶の成分分析を行った成果についての説明の様子です。

インターネット通販などで「ダイエット効果」「身体によい」と言われる製品が販売されています。
国民生活センターでは、その成分分析を行い、内容に含まれているものが本当に人体にとって安全なものなのか、効果は本当にあるのかということを科学的に検証しています。

この紹介では、「確かに効果はあるけれども、副作用も想定される成分が含まれている」ということを鑑定したことが伝えられました。
効果が感じられるとしても、安全性に問題があるようなものが流通している世の中、求めがあれば調査をしてくださるとのことでした。

難燃性テスト室
この施設では、着衣に火がついたときの燃え方、電気機器で誤った操作を行うとどのような現象が起こるのかを検証して、それを動画コンテンツにして消費者の啓発に役立てるような実験を行っています。
実際にコールドスプレーをコンロに吹きかけたときに、激しく火が上がる場面を見せていただきました。

着衣の実験をするときには、ダミ人形に着衣をお願いしているそうです。

産業用ロボットによる耐久性試験
産業用ロボットを用いて、製品に繰り返し応力をかけて、その製品の耐久性を検証しています。
写真は、高齢者が日常的に使用する杖に人の体重をかけて歩行するシミュレーションを行っています。
この耐久性試験によって、普通に使用した場合、どのぐらいの回数で製品が不具合を起こすかを実験しています。

X線C T検査
機器を分解せずに、内部でどのような不具合が生じているのかを検査する設備です。
いわゆる空港での荷物検査のようなものかと思いましたが、この検査機器では、細かい部分がクローズアップできたりCT(断層撮影)と言われるだけあって、どの部分で不具合が起きているのか場所を特定できたりします。

見学では電気ドライヤーの本体を中に入れて見せていただきましたが、右の写真のように、コードの内部での電熱線の損傷の状況なども見ることができました。


家庭内事故解析棟
敷地の中に一軒の家が建っているという感じでした。
家の玄関の高さを調整できたり、鴨居の高さを調整することができたりします。
そのことによって、設計によって起こりうる事故などを検証することができるとのことでした。

また、和室・洋室も備えられていて、環境の変化によって家がどのようになるのかを実験できます。
玄関には2階・3階へつながるエレベータも設置されていました。

二輪車の安全性の検証
屋外には、自動車の整備工場のような建物がありました。
この施設では、自転車に子どもを乗せて運転する場合の危険性についての説明がありました。

保育園などの送迎で、よく子どもを前に抱っこして二輪車を運転している場面を見かけますが、きちんと条例によって子どもの年齢が規定されていること、前抱っこをして自転車をこぐことによって子どもが投げ出される事例や、前抱っこをしていることでハンドルが切りにくくなり、動作範囲が狭まることなどを説明していただきました。

映像でわかりやすく伝える啓発動画を撮影することもあるそうです。

また、最近自転車のヘルメット着用が義務づけられましたが、いろいろなタイプのヘルメットがあることが紹介されました。

【参加者の感想から】
◯最新のクーリングオフの情報が聞けて良かったです。メー ルでの対応が良くなったのは知りませんでした。

◯実際の相談事例などを踏まえたお話を聞くことができ、私自身も自分の消費生活への危機感を覚えました。今後子どもに教える際にも、危機感を持たせる、自分の消費行動への関心や意識を高めさせることが大切になると思うので、授業を行う際にも今回教えていただいた事例などを参考にしたロールプレイを行うなど、子どもたちが学ぶ必 要性を感じられるような授業をつくることができたらと思い ます。また国民生活センターの施設を見学できたことも大変貴重な経験でした。様々なブースで見せていただいた 商品テストの映像などは授業でも活用できると思ったので、授業内容に合わせて導入で取り入れるなどしていきたいです。

◯中学生の契約者トラブルを聞く機会がなかったので、大変興味深く聞くことができました。消費生活センターの方から聞くことで、根拠を持って生徒に事例を説明できるのでありがたく感じました。

◇技術分野◇
      令和5年8月7日(月)9:00~12:00
      会場:藤沢市立第一中学校 PC室(2階)
      内容:「情報の技術」に関する実技研修
         チャットボット制作アプリを利用した「双方向性のあるコンテンツのプログラミングによる問題解決」
      講師:田極 政一郎 氏(全日本中学校技術・家庭科研究会 顧問)

17名の参加者をお迎えし、研修がスタートしました。
現行学習指導要領のD「情報の技術」における双方向性のあるコンテンツのプログラミングによる問題解決」が研修題材です。

 技術分野においては,小学校において育成された資質・能力を土台に,生活や社会の中からプログラムに関わる問題を見いだして課題を設定する力,プログラミ ング的思考等を発揮して解決策を構想する力,処理の流れを図などに表し試行等 を通じて解決策を具体化する力などの育成や,順次,分岐,反復といったプログ ラムの構造を支える要素等の理解を目指すために,従前はソフトウェアを用いて学習することの多かった「ディジタル作品の設計と制作」に関する内容について, プログラミングを通して学ぶこととされています。また,制作するコンテンツのプログラムに対して「ネットワークの利用」及び「双方向性」の規定が追加されています。
 技術分野の各内容は、改訂の度に社会の技術の変遷が取り入れられたものになっています。特に内容Dは、改訂の度に大きく内容がステップアップする傾向があります。
 「双方向性のあるコンテンツ」についても、現在多くの題材が出ている中、今回は、令和4年度の全国中学生創造ものづくり教育フェアで競技として採用されたチャットボットの制作について取り上げました。(リンク先のページの最下部に令和4・5年度の入賞作品がリンクされています。概要をご確認ください。)

 日本パソコン能力検定委員会と全日本中学校技術・家庭科研究会とが3年越しでソフトウェアの設計・指導案・教材の検討を行い、ソフトウェアは現在も改善が図られています。
 今回、講師を務めていただいた田極政一郎先生は、東京都の中学校長として、全日本中学校技術・家庭科研究会の会長をお務めになりました。ご退職ののち、その経験を活かして、今回のソフトウェアの制作に中心的に関わっていらっしゃいます。
 教材について詳しく知りたい方はこちら(日本パソコン能力検定委員会ウェブページ)から内容をご確認ください。教材の概要とエントリーの方法が掲載されています。


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